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シアトル行政インタビュー

アメリカの中でも地下室の普及率が高いシアトル、
そのシアトルのアーバンデザイナーであるライル氏に
地下室の歴史的背景などのお話を伺いました。

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北米輸入住宅・現地研修画像-シアトル市役所にて

アメリカ西海岸の北端、シアトル。イチローが活躍するシアトルマリナーズで、もう日本でもお馴染みの街だ。地下のある家を探し、アメリカでも比較的多い地域と言われるこのシアトルを訪れた。ここでは、ほとんどの家に地下がついているという。なぜなのだろうか。まずはそのあたりを、シアトル市役所に行き、市のアーバンデザイナーであるライル・ビックネルさんに尋ねてみた。アーバンデザイナーという仕事は、シアトル市のほぼすべての建物のデザインの検査をすることだという。当然のことながら、シアトル市や他の地域についての家のデザインの傾向について、豊富な知識を持っている。

 
北米輸入住宅・現地研修画像-シアトル市役所都市デザイナー:ライル・ビックネル氏
北米輸入住宅・現地研修画像-シアトル市役所

「全米の新築の家では40%に付いています。主に北東部と北西部に多いですね。南部だと少なくて20%程度でしょう。もともとは冬場に地面が凍結する地域では基礎部分が地下1メートル以上必要なので、それならそこを使える空間にしようということで、もっと深く掘り地下室にしたというのが始まりです。シアトルの家に関して言えば、ほぼすべて付いています」

−−地下の歴史的な進化を教えてもらえませんか。

「シアトルは1860年ぐらいに街として始まり、住宅は1900年から1940年にほとんどが建てられました。その当時はまだ車が高価でしたから、ほとんどの人は街中に住み、小さな敷地を最大限に使う必要があったので地下を持つのが当たり前でした。そして1950年代の車ブームは住宅に大きな影響を与えました。多くの人が車で移動できるようになって、もっと遠くへ住むことが可能となったので、大きな敷地を郊外に買うことができ、地下をつくる金銭的なメリットがなくなってしまいました。ですが、これは最近またもとに戻っている傾向にあります。シアトル一帯に人口が増え、交通渋滞がひどく、土地の価格がどんどん上がっているので、街中に住むことが改めて見直されています。そんな中で地下があることは本当に価値のあることになっています。そこで、もともとは暗い貯蔵庫として使われていた地下が、窓を入れたり電灯を工夫して明るい子供の遊び部屋、寝室、家族のくつろぎの空間、AVルームなどに変身しつつあります。完全に普通の生活空間です。シアトルでは、新築の家についてもほとんどが地下が付いています。ほとんどの街で家の高さには10メートル程度の規制がありますから上には伸ばせないのです。日本でもこれは同じことだと思います」

北米輸入住宅・現地研修画像-シアトル市役所都市デザイナー:ライル・ビックネル氏2

−−日本でも似たような悩みがありますね。子供が大きくなってもっとスペースが欲しいとか年老いた両親と一緒に暮らしたいが、敷地は小さいし3階などつくるにも規制がある。郊外に出て行くと多少大きな敷地があるけど通勤が大変という。

「僕はこういう話を聞くといつも可笑しく思いますよ。日本とアメリカでは言葉も違うし文化も違う、全く違う社会に見えます。でも、そんなことはなくて、大都市での交通渋滞、建築規制、土地が足りないこと、人口の老齢化、これらの問題はすべてアメリカでも日本でも、いやフランス、イギリス、その他の国でも起こっていることです。だから、こうやってお互いの住宅環境についてアイデアを交換することはとても大切なことです。僕らも日本から学べることがたくさんあると思いますよ」

北米輸入住宅・現地研修画像-シアトル市役所都市デザイナー:ライル・ビックネル氏インタビュー
北米輸入住宅・現地研修画像-シアトル市役所都市デザイナー:ライル・ビックネル氏3

−−まさしくライルさんの言うとおりだと思います。

「人口老齢化の問題について、いい例があります。私のお向かいの家の話をしましょう。彼が住んでいる家は地下のない小さな家だったのですが、年老いた母親といっしょに暮らし始めることを考え、新しい大きな家を郊外でいろいろと見始めました。でも自分の通勤時間や家の値段、ライフスタイルなどを考えるとどうしても高くついてしまいます。そこで彼の結論は、家の下に地下を掘って母親の住むスペースを作るということでした。これは想像してもらえればわかると思いますが、ものすごい作業でした。まず家が落ちないようにサポートを入れて、それからベルトコンベアーとか機械を入れて、地下の土を下からかき出し、コンクリートの基礎工事をしました。そして最後に家を基礎に合わせるという作業でした。でも、ここまでしても郊外で新しい家を買って住むよりも金銭的にもライフスタイル的にもよかったんです。おまけに窓とか入れて地下と感じられないデザインにしましたから快適ですし、母親も息子と一緒に暮らせて、安心で喜んでますよ」

北米輸入住宅・現地研修画像-シアトル市役所都市デザイナー:ライル・ビックネル氏インタビュー2
北米輸入住宅・現地研修画像-シアトル市役所都市デザイナー:ライル・ビックネル氏4

−−なるほど。やり方、デザイン次第で今ある敷地を最大限に使うことができ、地下を明るい快適な空間にすることができるということですね。
最後にライルさんから日本の方々に、地下付きの家について何かメッセージありませんか。

「僕の家にも地下があって、日曜大工の作業場にしたり、園芸用の道具などを置いています。敷地の小さいシアトルで地下がなかったら家が小さすぎて、こんな自分の趣味の空間など持てないと思いますよ。日本でも同じじゃないですか。僕はこの空間は大好きですし、本当に地下があってよかったと思います。これからも地下付きの家じゃないと買わないですね。もし日本で地下付きの家の例が少ないんであれば、シアトルに来て見て回ってください。みんないろいろとクリエイティブな使い方をして、自分のライフスタイルにあわせて、上手に地下の空間を使っています」

北米輸入住宅・現地研修画像-シアトル市役所都市デザイナー:ライル・ビックネル氏と工藤社員

ちゃっかりと旅行先としてのシアトルPRも忘れないライルさん。でも、彼の情熱的な話し方から、彼がこのシアトルという街を愛し、敷地の狭いシアトルで自分の趣味のための地下の空間を愛していることはひしひしと伝わってきた。少しの時間のお話で、これだけの情報が、資料も見ずスラスラと出てくることはさすが。彼のシアトルの住宅についての知識の深さを感じた。

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